相続人はどのように調査すれば良いのか?
相続開始後、必ず行わなければならないのは財産調査と相続人調査です。
ここで、財産調査はわかるけど、相続人なんて調査する必要あるの?と感じた方がいらっしゃるかもしれません。
多くの方が勘違いしがちなのですが、相続人は目に見えている方だけでない可能性が十分にあるのです。
たとえば、過去に誰も知らなかった結婚歴があり、そこに子どもがいたとなれば、当然、その子どもは相続人となります。
家族の誰もが知らなかったとしても、その子どもは間違いなく相続人になります。
そして、遺産分割協議や相続財産の名義変更などの手続きは、すべての相続人を確認した後でなければできません。
よって、相続人調査は必ず行う必要があります。
相続人調査に苦労するケース
相続人調査は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せるところからスタートします。
あまり本籍地を転々としていない方であれば、1つの市区町村役場ですべての戸籍謄本が揃うこともあります。
しかし、過去に本籍地を転々としている場合、そのすべての市区町村役場から戸籍謄本を取り寄せなければならないため、時間も手間もかかってしまいます。
その他にも、配偶者が子どもが相続人であれば、それほど苦労はしませんが、兄弟姉妹が相続人となっている場合、すべての兄弟姉妹の存在を証明するためには亡くなった方のさらに両親の出生まで戸籍をさかのぼる必要があるのみならず、その兄弟姉妹の本籍地が各地に点在していたり、すでに亡くなっている方がいて代襲相続が発生していたりすると、相続人調査だけで1ヶ月以上かかってしまうこともあるのです。
戸籍謄本は基本的に、すべて郵送にて取り寄せることが可能ですが、手元に届くまでには1週間以上かかることもあり、相続関係が複雑であればあるほど、戸籍謄本の取り寄せには苦労します。
戸籍の種類について
それでは次に、戸籍の種類についても見ていきましょう。
戸籍には、「現在戸籍」、「除籍」、「原戸籍」の3種類があります。
現在戸籍の多くはすでに電子化されたものとなっていますが、除籍や原戸籍の場合で、特に時代の古いものは手書きで書かれているものも多く、判読に苦労する場合があります。
「まるでなんて書いてあるのかわからない」なんてことも、戸籍収集ではめずらしいことではありません。
そういった場合は、地区町村役場に読み方を尋ねてみましょう。
通常、戸籍収集は死亡から順に辿っていくのですが、どうしても読めない場合は、次に請求する市区町村役場には、すでに手元にある戸籍の写しを添付し、「この戸籍以前のものを取得したい」と記載しておくと、円滑に進むので覚えておいてください。
なお、戸籍には「謄本」と「抄本」と呼ばれるものがありますが、相続手続きで使用するのはすべて戸籍謄本となります。
抄本というのは、一部が省略されたものを指しますので、相続手続きでは使用できないことになっています。
必ず、「戸籍謄本」を取得してください。
戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本の具体的な取得方法についても見ておきましょう。
戸籍謄本は、対象の方の本籍地にある市区町村役場にて取得できます。
窓口まで足を運べば申請書等は置いてありますが、遠方や時間帯の都合などで足を運べず、郵送で取り寄せる場合は、インターネットにて各市区町村役場のホームページから郵送申請用の申請書をダウンロードしましょう。
その他の必要書類は、一般的には身分証明書の写し、取り寄せの対象者が直系親族でない場合は、相続関係を証明するために戸籍謄本の写しが必要になる場合があります。
個々によって必要書類が異なるので、事前に市区町村役場にて確認しておきましょう。
なお、郵送申請の際は手数料として小為替と返信用の封筒を同封します。
手数料は、現在戸籍が450円、除籍・原戸籍が750円となっていてこれは全国で統一されているので、必要な枚数分を入れておきましょう。
もし、いくつ戸籍が保管されているかわからない場合は、少し多めに入れておくとスムーズに取り寄せできます。
相続人調査は弁護士に依頼するのも手
単純な相続関係であれば良いのですが、そうでない場合は戸籍謄本の取得にかなり時間を取られることになります。
また、亡くなられた方がご年配であれば、まだ手書きだった時代の戸籍を読み解かなければなりません。
郵送申請するにしても、申請書をダウンロードしたり、必要書類を確認したりと、戸籍謄本の取得にはどうしても手間がかかってしまいます。
さらには、相続開始から3ヶ月以内には相続放棄や限定承認、10ヶ月以内には相続税の申告・納税と、限られた時間の中で調査を行わなければならないのです。
そこで、相続人調査に不安を感じている方は、弁護士に依頼してしまうのも賢明な策です。
弁護士であれば、職権にて戸籍謄本の取り寄せができますし、戸籍実務についても熟知していることから、スピーディに相続人調査を行うことができます。
もちろん、その先の遺産分割協議や、必要があれば相続放棄や限定承認なども任せられます。
相続手続きにおける負担を大幅に軽減できるので、ご検討してみてはいかがでしょう?
当事務所においても、相続人調査のご依頼をはじめ、相続に関するご相談を受け付けております。