相続不動産の評価方法は1つではない 

代表弁護士 豊田 耕史 (とよだ こうじ)

相続時、不動産があるとトラブルが起きやすい理由、みなさまはわかりますでしょうか?

その理由は、不動産は数ある相続財産の中でも高額になりやすく、その持ち分をめぐって相続人同士でトラブルになりやすいためです。

この点は予想がついた方も多いのではないでしょうか。

しかし、それに加え、不動産は評価方法が1つではなく、その評価方法によって金額に大きな差が出てきます。

当然、そこに不平等を感じる相続人がいれば、トラブルへと発展してしまいます。

特に、代償分割や現物分割にて不動産の分割を行う場合は要注意です。

というわけで今回は、遺産分割の際に少しでもトラブルを避けるため、不動産の評価方法について詳しくご説明します。

不動産の評価方法が1つではない理由

では、そもそもなぜ不動産の評価方法は1つではないのでしょうか?

その理由は、不動産というのは、実勢価格(実際に取引される金額の相場)であっても、査定する業者によっては数百万円もの誤差が生じることもあり、一定額というものがありません。

その他にも、相続税の算出に使用される「路線価図」や、「固定資産税評価額」、「公示地価」といったものがあります。

そして、このすべての評価額において、一定の金額になることがないのです。

さらに、遺産分割協議の際は、どの評価方法を使わなければならないといった決まりがありません。

となれば、不動産を取得する相続人は評価額をなるべく下げたいですし、そうでない側からすれば評価額が高ければ代償分割の際に有利になるため、なるべく高い評価方法を選びたくなります。

そのため、どの方法で不動産を評価するかについても、遺産分割協議でしっかりと話し合っていかなければならないのです。

4つの評価方法について

不動産には、以下の4つの評価方法があります。

それぞれ具体的に見ていきましょう。

1、実勢価格

実勢価格とは、実際に不動産の取引されている金額であることから、不動産の評価方法としては非常に一般的です。

ただし、査定する業者によって金額に差異が生じるため、実勢価格を評価方法としてもちいる場合は、複数社に査定を依頼し、その中間価格にすることで差を埋めます。

2、路線価

路線価とは、相続税を算出する際に用いられる価格で、国税庁が毎年更新・作成しています。

よって、算出時に用いられるのは相続が開始した年度の路線価となります。

ただし、路線価の対象となるのは土地のみで、建物の評価はできません。

金額はおおよそ実勢価格よりも低くなります。

3、固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、毎年の固定資産税の算出に利用される評価額です。

路線価とは異なり、建物にも設定されていることと、実勢価格のように差異が生じることはないため、遺産分割協議時の評価額として用いる方もいらっしゃいます。

ただし、実勢価格よりは低くなるため注意です。

4、公示地価

公示地価とは、国土交通省が定めている地価のことで、不動産鑑定士による鑑定結果を基本にし、毎年改定されています。

ただし、対応している土地は指定されている標準地のみで、公示価格を不動産評価額として使用することは滅多にありません。

参考程度に、公示地価というものがあるのだと覚えておく程度で問題ありません。

遺産分割協議では実勢価格か固定資産税評価額

上記のことからも、遺産分割協議では、実勢価格か固定資産税評価額を用いることが多くなっています。

実際に不動産を売却するのであれば、実勢価格を用いるのが良いですし、特に売却の予定がなければ、固定資産税評価額を用いるのも手です。

ただ、実勢価格を用いる場合、より正確な金額を算出するためには複数の業者に不動産鑑定を依頼することになります。

より信用性の高い査定額を求めるには専門家である不動産鑑定士に依頼することになりますが、費用が高額となるため、簡易な方法としては不動産仲介業者がサービスで行ってくれる査定を用いることが多いかと思われます。

査定費用あるいは業者に依頼する手間をかけて実勢価格を用いるのか、それとも固定資産税評価額を用いるのかなど、相続人同士でよく話し合いをして決めていくのが良いでしょう。

また、事情次第では、どちらの方法で不動産を評価するか決まらないこともあるかもしれません。

その場合は、実勢価格と固定資産税評価額の間を取るなど、柔軟に遺産分割協議を進めていくのが理想的です。

それでも揉めるのが遺産分割協議

しかし、それでも揉めてしまうのが遺産分割協議というものです。

そこで、もし、遺産分割協議がうまく進まないという方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

当事務所では、ご相談者様からのお話をよく聞かせていただき、どういったご要望をお持ちであるのか、それを実現させるために何が障害になっているのか、他の相続人はどういった考えを持っているのか、といった様々な観点から不公平のない遺産分割が実現できるようアドバイスさせていただきます。

また、当事務所にご依頼いただければ、査定評価に対応する不動産業者との連携はもちろんのこと、遺産分割協議後の相続税の申告・納税、相続登記の申請といった別の手続きに対しても、提携している他士業と連携を取りながら一括して手続きを進めていける体制が整っておりますのでご安心ください。

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