遺産分割調停・審判の流れと有利に進める方法

代表弁護士 豊田 耕史 (とよだ こうじ)

相続人同士で揉めてしまい、または遠方だったり疎遠だったりするなどの理由から、どうしても遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」の申立をするしかありません。

遺産分割調停は、簡単にいえば、家庭裁判所の裁判官と民間から選任された調停委員2名(裁判所によって多少の違いあり)を交えて行われる、当事者同士の話し合いの場です。

第三者を交えることで、感情的になることを避けたり、変な気まずさを感じたりせずに話し合いを進めていけるメリットがあります。

しかし、現実にはそれでも話し合いがまとまらないケースはいくつもあります。

そういった場合、調停は審判へと移行します。

これを正確には、「遺産分割審判」と言います。

遺産分割審判では、裁判官が強制的に結論を出すため、言ってしまえば裁判と似た手続きです。

今回は、この遺産分割調停と審判の流れと、手続きを有利に進める方法について見ていきます。

遺産分割調停・審判の流れ

1、申立

まず遺産分割調停は、申立人とそれ以外(相手方といいます)の話し合いが必須であることからも、話し合いを求める申立人側ではなく、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。

ただし、事前に申立人と相手側とで合意で定めた家庭裁判所があれば、その家庭裁判所に申し立てることが可能です。

必要書類を取得し、管轄の家庭裁判所に申し立てましょう。

2、期日

申立てが終わると、事前に申立人と家庭裁判所で調整した、第一回期日の呼出状が相手方であるすべての相続人に送られます。

この日に裁判所での話し合いが行われます。

当日の流れについては、家庭裁判所や担当した調停委員によっても若干異なるのですが、通常は調停委員のいる部屋に呼び出され、各々が希望する遺産分割についての考えを聞かれます。

調停委員はその考えを聞き、中立な立場にて意見・進行をしてくれます。

この話し合いは、およそ数時間程度で終わりますが、多くは1度で合意とはならず、数回行われるのが一般的です。

そして、最後に次回期日の日時(およそ1ヵ月後が多い)について取り決めをし、話し合いは終了となります。

3、成立・不成立

実は調停が行われる回数に決まりはありません。

話し合いが難航すれば、1年以上かかってしまうケースもめずらしくはないのです。

もちろん、話し合いがスムーズに進めば調停は成立し、裁判所から合意の内容を証明する書面として「調停調書」が作成され、相続人はこの調停調書に基づいた遺産分割をすることになります。

しかし、どうしても話し合いがまとまらないと調停委員が判断した場合、調停は不成立となり、手続きは審判へと移行することになります。

4、審判

審判では、調停と同じように話し合いをすることは可能です。

審判へ移行したからといって、即座に裁判官が強制的に結論を出すわけではありませんし、なにか違った意見があれば、再度の話し合いを求めることができます。

長ければ審判でさえ、1年以上時間をかけるケースもあります。

とはいえ、それでも話し合いがまとまらないとなれば、最終的には裁判官が結論を下します。

そして、裁判官が下す結論のほとんどは、法定相続分に則った内容になりますので、相続人全員が納得できる結論というのは出ないと考えていて間違いはありません。

遺産分割調停・審判を有利に進めるには?

上記からもわかるように、審判にまでもつれ込んでしまえば、納得できる結論は出ない可能性が強いです。

そこで、少しでも遺産分割調停・審判を有利に進めるためには、どういった点に気を配れば良いのでしょうか?

以下にて、大きく4つのポイントをまとめてみました。

1、しっかり主張すること

まず、自らはどういった遺産分割を望んでいるのか、しっかりと主張することが大切です。

どうしたいのかがはっきりしないと、調停委員は他の相続人の意見を優先してしまいます。

調停の場で遠慮する必要はありません。

しっかりと自らの考えを主張していきましょう。

2、妥協できるところは妥協する

遺産分割においては、他の相続人がいる以上、すべてが自分の思い通りにはなりません。

そこで、どうしても譲れない部分はどこなのか。

預貯金の割合なのか不動産なのか。

そしてそれ以外の部分は妥協することも大切です。

一歩引くことで話し合いがスムーズに進むことも当然あります。

3、調停委員と良い関係を築く

また、一歩引くということは、調停委員に良い印象を与える結果に繋がります。

調停委員はあくまでも中立な立場ではあるものの、聞き分けのない相続人に対しては嫌悪感を抱くのも仕方がありません。

逆に、一歩引くことで話し合いをスムーズに進める姿勢を認めてもらえれば、主張を尊重してもらえる可能性が十分にあるのです。

進行役の調停委員と良い関係を築くのは、調停を有利に進めるためには非常に重要です。

4、話し合いでの解決に価値があると考える

最後に、話し合いで解決できること自体がメリットであるのだと認識しましょう。

なぜなら、審判へと移行してしまえば、その多くは法定相続分による分割になるケースがほとんどです。

そうではなく、少しでも自らの主張を遺産分割に取り入れてもらうこと。

そして、100%ではなくてもお互いに合意して納得の上で解決するということ自体に価値があると考えることも大切です。

なにより、すべての遺産分割調停が親族間での争いであることを考えれば、最終的にお互いの話し合いによって合意したという事実は、一時的に壊れてしまった親族間の関係を今後少しでも修復する方向に働きかけることが期待できるのです。

遺産分割調停・審判は当事務所へご相談ください

遺産分割調停・審判を有利に進めるもう1つの方法が、弁護士に依頼することです。

弁護士であれば、調停に立ち会うことができるため、話し合いの中で的確なアドバイスをすることができます。

調停では、自身の余計な一言が不利な状況に追い込むことも少なくありません。

弁護士がサポートしていれば、こうした展開を回避することができます。

また、審判という手続きは、裁判官が結論付けるという側面からも、訴訟と似通った手続きになります。

弁護士であれば、必要な証拠の作成や、主張書面の提出など、必要に応じて有利に展開するためにサポートすることができます。

もちろん、当事務所においても過去に数多くの遺産分割調停・審判をサポートしてきた実績と経験があるため、いざというときのアイデアの引き出しが多いのも武器と自負しております。

これから遺産分割調停を検討している、今まさに調停中であるなど、タイミングに関係なくご相談ください。

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