遺留分侵害額請求されたらどう対応すべきか?
相続人は、遺留分を侵害されていた場合、「遺留分侵害額請求」という手続きにて、取り戻し請求ができます。
遺留分とは、相続人が最低限相続できる取り分のことで、被相続人の配偶者、子ども(代襲相続人も含む)、直系尊属に認められています。
多くは、被相続人が生前に作成した遺言書による取り分指定が理由で遺留分侵害が起こります。
たとえば、兄弟姉妹がいる中で、長男に全財産を譲るといった遺言があれば、他の兄弟姉妹は遺留分侵害されていることになります。
ただ、遺留分を無視した遺言が無効にはなりませんし、他の兄弟姉妹が遺留分侵害額請求をしなければ遺言どおりで問題ありません。
しかし、もし仮に遺留分侵害額請求をされたらどのように対応すべきでしょうか?今回は、遺留分侵害額請求をされた場合の対応について見ていきます。
相手を無視しないことが大切
まず、遺留分の請求自体、無視できるものではないという認識をしましょう。
- 「自分は被相続人の遺言通りに財産を受け取ったのだから、他の相続人に分配する必要はない」
- 「遺言は被相続人の最後の意志なのだから、遺留分よりも優先すべきである」
こうした考えは間違っています。
こうした考えを持っていると、相手を面倒に感じ、中には無視してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、遺留分侵害額請求の対応として、相手を無視する行為は絶対にしてはなりません。
というのも、多くの場合、相手方に弁護士が介入し、内容証明郵便が送付され、遺留分侵害額請求に気付くことになります。
内容証明郵便というのは、郵便局にも保管されますし、相手方の手元にも控えが存在します。
これを無視したとなれば、調停や裁判といった法的手続きに着手される恐れが強くなりますし、裁判でも証拠として提出されることになり、裁判官の心象に強く影響します。
また、そもそも相手の言い分を無視するということ自体が相手の感情を悪化させ、紛争をより長引かせる要因となることは明らかです。
こういった点を回避する意味でも、無視はしないことが大切です。
請求内容をしっかりと確認する
次に大切なのが、相手から届いた請求内容の中身をしっかりと確認しましょう。
たとえば、請求してきた相手が本当に相続人であるのかどうか、遺留分権があるのかどうか、本人が直接請求してきているのか、それとも代理人として弁護士といった専門家が請求してきているのか、といった点を確認してください。
そして、請求された中身として、遺留分割合が正しいのか、自身が本当に遺留分を侵害しているのか(遺言や生前贈与の有無など)を確認します。
最後に、遺留分の侵害が認められるのであれば、時効期間(相手が遺留分の侵害を知ってから1年、もしくは相続開始から10年)を満了していないかを確認し、消滅時効にかかっているようであれば時効援用の手続きを、そうでないのであれば、遺留分の返還について検討し始めましょう。
相手方とは必ず交渉してみる
もし、遺留分侵害額請求の条件をすべて満たしていたとしても、相手が請求してきた金額をそのまま盲目的に支払うべきではありません。
相手方とは、必ず交渉してみてください。
何か誤解がある可能性は十分にありますし、請求されている金額自体に間違いがある可能性だってあります。
どういった根拠で、請求金額が算出されているのか、しっかりと確認し、その上で交渉へと臨みましょう。
また、遺留分侵害額請求の条件を満たしていなかったとしても、やはり一度交渉してみることは大切です。
遺留分侵害はしていないと、しっかりと主張していきましょう。
いわれはない請求だと無視していると、相手から調停や裁判を起こされてしまう恐れがあります。
煩わしい手続きに付き合わされる羽目になりますので、しっかりと話し合いをし、遺留分侵害していないのだと理解してもらいましょう。
こうした話し合いに応じることで、相手も冷静さを取り戻してくれるはずです。
対応しきれないときは弁護士に相談を
しかし、中にはそれでも諦めずに請求してくる方もいますし、そもそも遺留分についての理解が難しい、相手方との交渉自体が難しい、という方は、弁護士への相談を検討してください。
特に相手がすでに弁護士に依頼している場合は、単独で弁護士と交渉するのは非常に危険です。
不注意な発言を理由にいらぬ誤解を招く可能性がありますし、それを根拠に調停や裁判などを起こされては厄介です。
弁護士であれば、遺留分侵害にはなっていないことの説明はもちろん、仮に遺留分侵害に該当していたとしても、その金額をしっかりと確認し、相手から余計に取られないよう、相手方との交渉を行うことができます。
また、調停や裁判に発展してしまったとしても、書面の作成や相手方、裁判所とのやり取りをすべて任せることができます。
もちろん当事務所でも遺留分侵害額請求のご相談を受け付けております。
どう対応したらいいのかお悩みの方は、まずはお電話にてお伺いします。
相談は初回無料となっていますので、どうかお気軽にご相談ください。