遺言書の3種類の作成方式と各メリット・デメリット

代表弁護士 豊田 耕史 (とよだ こうじ)

相続というのは、遺言書が見つからなかった場合、相続人全員で遺産分割についての話し合いをすることになります。

この話し合いが相続トラブルの元であり、予防しようと思ったら、生前に遺言書を作成しておくべきなのは言うまでもありません。

自身の死後、残した遺産を巡って相続人同士で争うというのは、想像しただけでも心が痛むもの。

そうならないためにも、遺言書を作成してみようと考える方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、遺言書の作成を検討されている方に向けて、3種類の作成方式とそれぞれのメリット・デメリットについて詳しくご説明していきます。

遺言書には3種類の作成方式がある

まず、遺言書には3種類の作成方式があります。

それぞれ個別にどういったものなのか?そしてメリット・デメリットについても詳しく見ていきましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、自筆で作成する遺言書のことです。

以前までは、遺言書の全文、日付、氏名が自筆である必要がありましたが。

近年の法改正によって、遺言書に添付する遺産目録については自筆である必要がなくなりました。

これにより、多くの遺産(特に不動産)がある場合であっても、パソコンで打ち込んで遺言書を作成できるようになりました。

メリット

自筆証書遺言のメリットは、思い立ったらすぐに作成できる点です。

当然ながら費用もかかりません。

インターネットを使えば作成方法についても簡単に調べることができます。

デメリット

デメリットとしては、法的な不備があった場合に自分では確認できない(気付かない)点です。

1つでも不備が見つかれば、その遺言書は無効となります。

その他、保管が難しく他人に改ざん・偽造される危険がある点、自身の死後に相続人は自筆証書遺言の検認手続きを家庭裁判所で行わなければならない手間がかかってしまう点などが挙げられます。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場にて公証人立ち合いのもと作成される遺言書のことです。

公証人が遺言の内容について、その適法性について公権力を根拠に証明してくれます。

メリット

公正証書遺言のメリットは、法的不備のない遺言書の作成が可能な点です。

また、作成した遺言書は単に本人が保管するだけでなく、公証役場にて保管されるため、改ざんや偽造の心配がありません。

さらに、特に高齢者の場合、本人の判断能力的な部分で遺言の有効性が争われる事案が多いことから、その点のある程度のチェックについても社会的に信用性の高い公証人が行う公正証書遺言の優位性は明らかです。

その他、自筆証書遺言とは違って検認手続きを経る必要もありません。

デメリット

デメリットとしては、手数料がかかってしまう点です。

手数料は全国で統一されていますが、遺産の総額によって異なり、100万円以下であれば5000円、1000万円を超えてくると2万円以上かかってきます。

事前にどの程度の手数料がかかるのかは確認しておきましょう。

その他、証人を2名用意しなければなりません。

用意できない場合は、公証役場側で用意してもらうことも可能ですが、この際も費用がかかってしまう点には注意しましょう。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の内容を生前は誰にも見せたくない場合に利用されることが多い作成方式です。

こちらも公証役場にて作成することになるのですが、公証人にすら内容を明かさないで作成されるため、公証役場を利用するメリットが薄れることから、あまり利用されない作成方式です。

メリット

秘密証書遺言のメリットは、自分以外誰にも遺言内容を知られる心配がないという点です。

何か特別な事情がある方には最適な作成方式といえます。

また、署名さえできれば問題がないため、全文を自筆する必要はありません。

デメリット

デメリットとしては、公証役場を利用する以上、手数料がかかってしまう点です。

また、保管は自分自身で行わなければならないため、改ざん・偽造の危険があります。

さらには、公証人が中身を確認するわけではないため、法的不備があれば無効になりますし、自筆証書遺言と同様、検認手続きも経なければなりません。

絶対に失敗したくない方は公正証書遺言を

遺言書作成を絶対に失敗したくない方には、公正証書遺言をおすすめします。

公正証書遺言であれば、内容の法的不備を心配する必要がありませんし、作成された遺言書も公証役場にて保管されることから安心感もあり、さらに前述の理由から社会的信用性が段違いです。

もちろん、作成の仕方さえ間違えなければ、自筆証書遺言でも問題はありませんし、どちらのほうが有利・不利といったこともありません。

ただ、自筆証書遺言の場合は、法的不備への不安が消えませんし、自身で保管し続けなければならない点も不安材料の1つです。

不安症な方に自筆証書遺言は向かないので、費用はかかってしまっても公正証書遺言の作成を検討しましょう。

どうしても自分では決められない、1人で作成するのは心配だ、という方は、一度当事務所にご相談へ来られてはいかがでしょうか?

自筆証書遺言であれば作成のアドバイスをさせていただきますし、当職にご依頼されても大丈夫です。

また、公正証書遺言であれば内容面の作成とともに、実際に公証役場へ一緒に行き、証人になることも可能です。

まずは、遺言書作成にあたって、どういった点に悩まれているのかをお聞かせください。

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