前妻(夫)との子どもや非嫡出子の相続権について
相続においては、知られざる子どもの存在が相続トラブルの原因になるケースがあります。
それは、前妻(夫)との間に子どもがいた場合や、非嫡出子がいた場合です。
たとえば、配偶者も含めた相続人の誰もが、前妻(夫)との間の子どもの存在を知らなかったとしたら…?
また、非嫡出子(婚姻関係のない男女の間から産まれた子どものこと)がいた場合、その子どもにも相続権は発生するのか…?
今回は、こういった前妻(夫)との子どもや非嫡出子の相続権について詳しく見ていきます。
前妻(夫)との子どもにも相続権はある
結論から言えば、前妻(夫)との子どもにも相続権はありますし、相続分も現在の妻(夫)との子どもと区別されることもありません。
仮に、その子どもと被相続人との間で連絡が完全に途絶えており、もう何十年と会っていなかったとしても、子どもである以上、相続権が勝手に喪失することはありません。
よって、もし被相続人に前妻(夫)との子どもがいたとなれば、遺産分割協議に参加する権利があり、参加させないまま、勝手に遺産を分割することは認められていないのです。
相続権がある方が他にいるにも関わらず、それを無視して行われた遺産分割協議はすべて無効です。
もし、相続人の調査中に前妻(夫)との子どもを確認した場合、必ず連絡を取り、遺産分割協議に参加してもらってください。
非嫡出子にも相続権はある
こちらも結論から言いますが、非嫡出子にも相続権はありますし、現在は相続分も区別されることはなくなりました。
よって、非嫡出子も嫡出子と同様の相続分が認められています。
では、非嫡出子とは具体的にどういった子どもを指すのでしょうか?
冒頭でも触れましたが簡単に言えば、婚姻関係にない男女から産まれた子どものことですが、具体的には、嫡出子の条件に当てはまらない子どもを指します。
嫡出子の条件とは、以下のものとなります。
- 婚姻中に妊娠した子ども
- 婚姻後201日目以降に生まれた子ども
- 父の死亡後、もしくは離婚後、300日以内に生まれた子ども
- 未婚時に父によって認知され、その後婚姻した子ども
- 未婚時ではなく婚姻後に父が認知した子ども
- 養子縁組をした子ども
以前は非嫡出子の相続分は減らされていた
上記からもわかるように、たとえ非嫡出子であっても相続においては嫡出子と区別されることはありません。
しかし、以前までは非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1と定められていました。
非嫡出子には不遇の時代があったのです。
しかし、同じ母から産まれた子どもであるのに、これでは不公平だという最高裁の判断が下り、その後、正式に民法が改正されました。
過去とは異なり、現在においては非嫡出子の相続分が半分になることはありません。
前妻(夫)の子どもや非嫡出子がいる方へ
もし、前妻(夫)との間に子どもがいる方や、非嫡出子がいるという方は、その存在を現在の配偶者や子どもに知らせておくことが大切です。
その存在を知らないまま相続が開始してしまえば、残された相続人を混乱させてしまいます。
特に、相続人からすれば、「どこの誰かもわからない相手に相続分を取られてしまった」、と認識させてしまい、これがトラブルへと発展する危険もあります。
自身の死後のことだからとは考えず、しっかり対策しておくようにしましょう。
自身が死んだ後、誰が相続人になり、どれだけの法定相続分があるのか、これを相続人全員に対し、生前に確認しておくことは、相続トラブルを回避するめにも有効な手段の1つなのです。
どうしても生前に告げることができないのであれば、遺言書を作成し、その中で伝えるというのも方法の1つです。
すでにお困りの方や相続が不安な方は弁護士に相談を
しかし、被相続人の生前に上述したような話し合いが行われず、前妻(夫)との子どもや非嫡出子の存在により、遺産分割協議に困っているという方は、迷わず弁護士に相談しましょう。
もちろん、子どもの存在についてカミングアウトする遺言書の作成について、不安に感じている方も同様です。
弁護士であれば、解決への道筋を示すことができますし、実際に交流のなかった相手との窓口となって、遺産分割協議を進めることもできます。
この方法であれば、存在の知らなかった相手と関わる必要もありませんし、遺産分割協議が無効に扱われる心配もありません。
現実に、前妻(夫)との間の子どもや非嫡出子の存在が、相続トラブルの原因になるケースは多いのです。
こうしたトラブルは、自ら解決させようと思うと、相手や他の相続人にいらぬ誤解を招く恐れも強く、親族関係までも破綻させるきっかけになりかねません。
酷いケースになると、訴訟にまで発展することもあり、肉体的・精神的負担も相当なものとなります。
こういった深刻なトラブルへと発展してしまう前に、ぜひ当事務所にご相談ください。
当事務所は過去に数多くの相続案件をサポートしてきた実績と経験があります。
まずはお気軽にお電話いただければ幸いです。